何が直接費で、何が間接費か? |
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■製品別原価計算に必要な分類 製品の原価を計算するとき、誰でも正確に計算したいと考えます。そのためには、特定の製品に使われることが明らかなものは、その製品固有の原価として直接把握する必要があります。しかし、どの製品に使われたかがわからないものは何らかの基準を設けて製品に配賦したいと考えます。ここに直接費と間接費の区分が生まれます。下記に直接費と間接費の定義をしておきましょう。
パンを作ろうとしたとき、材料や作り方を書いたレシピがあります。レシピに出てくる材料は製品別に把握できる直接費です。製品を作る作業員の人件費も工程や作業時間がわかると製品別に把握できる直接労務費になります。しかし、生産管理・品質管理・技術スタッフのように直接製品別に把握できない人件費は間接労務費です。 技術でも開発・設計の人たちの人件費は、どの製品図面を描いているかが製品別に把握できると直接労務費になることがあります。ちなみに、営業、総務、経理、情報システムなど本社部門で働く人の人件費は間接費であり、製造原価にも含まれない販売費・一般管理費になります。 個々の製品ごとに直接把握できるか否かを考えると製造経費のほとんどは間接費です。しかし、金型・治工具・専用設備などは、どの製品を作るために使われたかがわかるので直接費になるものもあります。
■どのように直接費と間接費を分けるか 図ではパンにかかる原価を、どのように財務会計から管理会計上の原価に集計しているかを示しています。パンつくりのレシピでは小麦粉、強力粉、砂糖、塩、バター、卵、脱脂粉などの材料を使って作ります。これらは、財務会計上の区分では材料費で、素材費、原料費、副材料費などの費目になっていますが、管理会計上は直接費になります。製造経費に含まれる金型や、現場作業員の給料・賞与・退職手当なども直接費であり、製品別に直接賦課することができます。 それ以外の費用は直接製品に紐づけることができない間接費です。
■間接費はどのように製品別に計算するか しかし、間接労務費、工場の建屋や機械設備、電気代も製品を作るためにかかっている費用であるには違いありません。直接費意外の間接費はどのように製品別に原価計算するのでしょうか。 間接費は何かに比例して製品別に配賦する原価計算を行います。間接労務費や製造経費は直接作業に使われる時間に比例してかかるものが多くなります。たとえば、間接人員は直接作業員の仕事をサポートし、作業員が着る作業着は時間の経過とともに汚れてきます。軍手も製品を扱う時間が長くなると破れてきます。電気は長い時間つけていると電気代がかかります。製造経費には直接作業に使われる時間に比例してかかる費用が多いのです。そこで、部門別の間接費を製品を作るためにかかる工数または時間に比例して個々の製品に配賦します。 そこで、直接労務費を製品別に直課するのに使った工数または時間で間接費を製品別に配賦するのです。
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